「うちの家族は大丈夫」「うちの兄弟は仲がいいから」
そう思っていた方こそ、気をつけてほしい。
なぜなら、親が亡くなったあとに起きる“相続”は、
お金の問題だけでなく、“気持ちのズレ”が露わになる場面でもあるからです。私自身、多くのご相談を受ける中で
「こんなはずじゃなかった」「お母さんが悲しむよね」
という言葉を何度も耳にしてきました。
相続は、遺産の“分け方”よりも、気持ちの“受け取り方”がもめる
相続で争うのは、お金持ちの家庭だけではありません。
むしろ、資産が多くない家庭ほど、
「気持ち」の食い違いがトラブルを生みやすい傾向にあります。
・長男ばかり優遇されていた
・面倒を見たのは自分なのに、兄弟は何もしていない
・生前にあれだけ援助してもらっていたのに隠している遺産の金額が問題なのではなく、
「不公平だ」「報われていない」と感じる気持ちこそが、
兄弟姉妹の関係を一気に壊してしまうのです。
遺言書だけでは届かない、親の“想い”
もちろん、遺言書を書くことはとても大切です。
でも、それだけで家族の関係が守れるとは限りません。
なぜなら、遺言書は“分け方”しか書けないから。
“なぜそうしたのか”という気持ちや背景までは、伝えきれないのです。
・なぜ長女に少し多く残したのか
・なぜ家を長男に継がせたのか
・なぜ面倒を見てくれた三男に感謝しているのかそうした「理由」や「想い」を言葉にしておかないと、
受け取った側にとっては「不公平」という印象しか残りません。
想いを届ける準備──“気持ちの終活”を始めませんか?
だからこそ、私は「気持ちの終活」を提案しています。
お金や書類の準備と同じくらい、
「何を伝えておきたいか」「どう記憶に残したいか」
を整理しておくことが、家族の絆を守る力になります。
そしてその方法の一つが、
“想いを祈りとして届ける”という代理参拝というかたちです。
神社という静かな空間に、
「ありがとう」「ごめんね」「頼んだよ」という気持ちを託す。
それは、遺言では届かない“やさしい手紙”のようなものです。
家族をつなぐ最後の祈り──祈願の力を信じて
祈りは自己満足だと言う人もいます。
でも私は、祈ることで自分の中の感情が整理され、
それが誰かの受け取り方を変えるきっかけになると信じています。
家族をバラバラにしないために、
親が今できることがある。それは、財産を分けることだけではなく、
「想いを届けること」だと、私は考えています。
Office You 高田 有希子