子どもに恨まれたまま人生を終えたくないあなたへ──その想いを形にする方法

「親父が死んだあと、兄弟で顔も合わせていません」 「葬儀のとき、涙も出なかったんです」 「最後まで、“ありがとう”のひと言もなかった」

これらはすべて、実際に私が終活支援の現場で何度も耳にしてきた、ご家族の生の声です。

人が亡くなったあとに起こる家族のトラブルは、財産や遺産が原因と思われがちです。確かにそれも一因ではありますが、 もっと根深い原因は、“気持ちが伝わっていなかった”ことにある──私はそう感じています。

■ 死後に恨まれるのは、誰だってつらい

「もう亡くなったんだから、何を言われても関係ない」 そう思える人もいるかもしれません。確かに、死後のことを気にしても仕方がない──そんなふうに考えるのも一理あるでしょう。

けれど、実際には多くの方が、心のどこかでこう願っています。 「死んだあと、家族に悪く思われたくない」 「せめて“いい親だった”と思ってほしい」 「自分のことを、憎まないでいてほしい」

これは、決してわがままでも見栄でもありません。 それは、長年家族を思い続けてきたからこそ出てくる、 “つながりを守りたい”という、まっすぐな気持ちの表れではないでしょうか。

死後の評価を気にするということは、 それだけ「大切に思っていた証」であり、 「まだ何か伝えたかった」という想いが心に残っているからこそ。

残された人の心に、静かに“良い親だった”という記憶が根づいていく── そのきっかけは、生前のほんの一言で決まることもあるのです。

だからこそ、その気持ちに蓋をせず、 「どうしたら想いが伝わるか」を考えることが、 本当に家族を思っていた証になるのだと思います。

■ なぜ、死後に恨まれるのか?

その多くは、「伝えておくべき気持ち」が伝わっていなかったことが原因です。

たとえば──介護してくれた娘に「ありがとう」と伝えなかった

厳しく接してきた息子に、実は愛していたと伝えられなかった

家族にたくさん頼っていたのに、「助かった」の一言を残さなかった

本人に悪気はなかった。 でも、「何も言わずに逝ってしまった」ことで、 残された家族の中にわだかまりが生まれてしまうのです。

そしてそれが、いつしか「親の悪口」や「兄弟の断絶」に変わってしまうこともある── それは、誰にとっても本意ではないはずです。

■ 「言葉にならなかった気持ち」も残せる

口に出すのが恥ずかしい。 今さら何を言っても、と思ってしまう。

でも、「感謝」「謝罪」「願い」── あなたの中にあるそんな気持ちは、 たとえ言葉にならなくても、ちゃんと残す方法があります。

たとえば──

  • 手紙にする(数行でも気持ちは伝わります)
  • エンディングノートに書く(感情の棚卸しとして)
  • 神社に祈りとして託す(形式に縛られず、静かに残せる)

これらはすべて、「家族に恨まれたくない」という想いを、 “かたち”として未来に残す手段です。

■ 恨まれたくない=愛されたかった、ということ

「死んだあと、恨まれたくない」と思うことは、 実は「本当は、家族に愛されていたかった」 「大切に思っていたと気づいてほしい」 という裏返しの感情ではないでしょうか。

だからこそ、 その想いはちゃんと残してあげてください。

■ 今できることは、たった一つ

生きているうちに、気持ちを残すこと。

それが、あなたの死後に家族を守る、 たった一つの“後悔しない終活”です。

想いを残すのに、早すぎることはありません。 今、できるうちに。

声に出せなかった「ありがとう」、 気づいていても言えなかった「ごめんね」、 そして、ずっと願っていた「家族仲良くしてね」──

その気持ちを、そっと形にしておきましょう。

OfficeYou 高田有希子

誰にも言えなかった気持ち、 言葉にならなかった想い、 恥ずかしさの奥にしまいこんだ感情。

それらは、あなたが家族を大切に思っていた証です。

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